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看護学生さんが2名来られました。

 2014年8月22日(金)、お盆が明けてまだ残暑が厳しいなか、釜ヶ崎(大阪市西成区)に、滋賀医科大学医学部看護学科の学生さん2名が来られました。

 ここの大学の教員(公衆衛生看護学講座 川畑摩紀枝先生)、実は10年以上前に釜ヶ崎で毎週1回、一年以上ボランティアに来て、精神科の疾患を抱え、耳鼻科の癌で、入院先をみつけることができず、在宅で生活していたケースに対して、どうしたらいいのか困っているときに、「訪問看護を利用したらどうですか?」と、おしえてくれた方です。今でもあのときのこと良く覚えているし、非常に感謝しています。

 5月末に公衆衛生学の授業で私たちのやっている生活支援・訪問看護などを話す機会をいただいたのですが、学生さんにとって、見る物すべてがはじめての世界なので、いろいろ思うところはあったと思います。

 午前中は二手に分かれ交代で、無料低額診療施設の精神科に来てもらって、病院の雰囲気を肌で感じてもらい、 訪問看護でまわってる人たちのところに行ってもらいまいた。

 一人は、脱水でなかなか食事がとれないけど、入院はイヤと言っているおじいちゃん、一人は脳神経の病気で、体が不自由になり、排便の手伝いをしているおじいちゃん。

 午後からは、釜ヶ崎の地域内にある支援付住宅のサポーティブハウスに。そして、この地域の野宿している人や生活保護受給者が救急車で搬送される、行路病院で拘縮しているケースのお見舞いに。

 そのあとは、この前まで精神科の病院に入院して、ここ数年地域で1か月も生活するのが大変だったケースの訪看のサービス一緒に行ってもらったり、生活保護のケースワーカーと話をする場面に同席したり、夕方に精神科の診療所の受診に一緒に入ってもらって、医師、患者さん、支援者のやり取りを見てもらいました。

 最後は、夜間宿所(シェルター)の整理券を配る列をみてもらい、怒涛のような長い一日が終わりました。

 うちの訪看部隊も学生さんと一緒にまわることで、学生さんにケースの状況を伝えたり、サービスをみてもらうことで勉強になりました。

 無料低額診療施設で、精神科の前で「立ち番(一緒に受診する患者さんが何人もいるので、診察時間はずっと精神科の入口で立っていること)」をしているときに、学生さんから 医療の専門性という話がでたので、 地域でかかわることは専門性以前に、トータルでその人をみないといけないから 生活をみないといけないし、狭い視野ではやれないという話をしています。 ちょっときつめに言ったのですが、それを、ボランティアからうちの職員になり、現在、訪問看護の管理者をしているスタッフにいろいろ聞いていたようです。

今後もこういう機会があればうれしいです。釜ヶ崎に来てくれた学生さんたち、教員にお礼を申し上げます。(訪問看護ステーションHippo.スタッフ一同)

 

学生からのお例文を以下で紹介します。

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この度の見学では、釜ヶ崎の人々の生活を実際に見ることができ、机上の学習では、得られない学びを得ることができました。

私たちは、ある程度恵まれた環境で育ち、安定した生活を送ることができています。しかし、私たちの目に入らない地域では、このような不安定な生活の中で、日々を生きている人がいることを深く実感致しました。

同行させていただいた、大阪社会医療センターでは、生活保護を受けている多くの人々がほぼ単独で受診されていました。しかし、特に精神疾患の方では、うまくご自身の生活や症状を話せない人もいます。本来であれば、このような精神疾患の方は家族の同行が必要となります。ここでは家族と暮らしていない方はたくさんおり、その中で、病と向き合って生きていくのはとても厳しいことです。

このような現状の中で、Hippo.の仕事はある意味で「家族」の役割を果たしているように私は感じました。「家族」というものは、何でも相談でき、いるだけで心強い存在です。

私が、吉村さんと同行させていただいた男性のお宅では、転居のことで悩まれていました。私が横で吉村さんと男性の会話を聞かせていただいたとき、このような相談も受けられるのかと少し疑問に思いました。込み入った経済状況のことまでは、中々他者には相談し難いことだからです。しかし、後々になってこのような相談にも対応するということが生活を支えるということであると気づきました。

これは、お見舞いに同行させていただいたときも、その一面を覗くことが出来ました。入院している相談者さんの代わりに買い物をするなど、あまり家族以外の他者がやらないこと、けれど誰かにやってもらわないといけないこと。

一般であれば家族がやるようなことを、サポートすることがHippo.の活動の一つであり、果たされている役割だと理解致しました。少し手助けすれば十分に生活することができる困窮者を総合的に支援する、Hippo.の心強い存在をこの見学で間近に拝見することができ、とても有難く思います。

大変お忙しい中、皆様のお時間を割いていただきまして誠にありがとうございました。今後の学習や将来就職した際に、この経験を活かして患者さんに対応していきたく思います。 (鳥原)

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看護師を志す者として、この度Hippoさんの見学に伺う機会を頂戴しました。お世話になりましたスタッフの皆様には、心より感謝申し上げます。

あいりん地区の実情は、現在の日本の社会制度の不具合をにわかに浮き彫りにするものでした。医療や福祉のプロフェッショナルとして携わる人々、地元ボランティアの方々が、困窮者支援の根元で懸命に知恵を出し合い、つながっている実際を見ました。野宿からの脱却のきっかけを促すことは、一方で生活環境の変化を望まない、支援に強く抵抗を示す人々もいるため、容易でないのが実態だとお聞きしました。高齢化が進む当事者のそれぞれの語りから、それでもまずは適切な健康行動を選択する道筋を示すことが必要不可欠であり、そのため社会的役割を自らが持ち、行動に移す責任は私たちにあることを重々認識しました。衣食住に困窮している人々の良質な生活とそれに続く新たな希望のため、医療・福祉サービスへのアクセスを助ける支援活動は、意義のある素晴らしい取り組みであると感じました。

帰り際、地区から程近くそびえ立つきらびやかなあべのハルカスを見上げたとき、世の人々が今の日本の実社会に誠意を持って目を向けていますようにと静かに祈りました。

五感を通じて知ったあいりん地区のあらゆる映像と思いを、私自身は将来の看護に重ねていきたいと強く決心するきっかけを頂きました。学生時代の貴重な経験となり、心から感謝しております。

この度は、Hippo.の皆様に大変お世話になりました。有意義な体験させていただきまして誠にありがとうございました。 (奥山)

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そして教員からの一言

学生に貴重かつ多様な機会を与えていただき大変感謝しております。 大学の訪問看護の実習ではこのような方への訪問は「困難ケース」なので学生さんはだめですねと言われることが多く、本当に貴重な機会です。

専門性の質問はわかるような気がします。自分が看護師としてのアイデンティティーをなんとか見つけたいと思っているから、そうなるのでしょう。 そういうものが、以外と邪魔になったり不要だと思えるようになるのは、私のような年増になってからかな…。でも尾松さんの鋭いツッコミは学生にとって心に響き、何かの形で生きてくると思います。

そちらでも学生が訪れたことでポジティブな気持ちをもって下さってうれしいです。自分から行きたいと言って出かけていったので、ちょっと感心してます。こちらから行けと言っても学びにはならないので、自らなにを思って、何を感じたのかとても感心があります。最近釜ヶ崎の話が聞きたいと思います。

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